こんにちはまるリスです。
今日は車のスピードメーターの不思議について取り上げたいと思います。
ドライブレコーダーの車速表示が遅い?
今から約2年前、当時のブームに乗って私の愛車トヨタアクアにドライブレコーダーを取り付けました。
取り付けてしばらくして、ある事に気が付きました。
ドライブレコーダーに付いている速度計の表示が、車のスピードメーターより5㎞程遅く表示されているのです。
はじめは誤差の範囲かと思ったのですが、そうでもないようです。
スピードが上がると誤差は若干広がる傾向にありますが、安定してドライブレコーダーの表示が遅いです。
ちなみにグーグルマップの速度計で確認してもやはり結果は同じで、車のスピードメーターの方が速く表示されました。
ネットで調べてもよくわからない
困った時のグーグル先生、という訳で早速「車、速度計、速い理由」と検索してみましたが、どれもはっきりとした答えを書いてある記事がありませんでした。
わからないなら自分で調べてみよう。
というわけで、早速トヨタにメールで聞いてみる事にしました。
世界のトヨタ、謎の回答
世界のトヨタからメールの返事はなかなか来ませんでした。
そして待つ事約1週間後にようやく返事が来ました。
そこにはこんな事が書いてありました。
日頃は、アクアをご愛用いただき、厚くお礼申し上げます。
トヨタ自動車 お客様相談センター メール担当の○○と申します。
お問合せいただきました件につきまして、ご回答申し上げます。
スピードメーターの数値に関しましては、国内の基準(※)において、「実車速÷10+4」の基準内に収めるという基準がございますので、トヨタも、その基準内に収めるように設計しております。
(※)道路運送車両法 保安基準
そのため、プラスの誤差はございますが、マイナスの誤差はございません。
ご参考にしていただければ幸いでございます。
本件について、何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問合せいただきたく存じます。
今後とも、トヨタをよろしくお願い申し上げます。
え?どういう事…?
トヨタの社員さんが頭が良すぎて、理解できない自分が悪いのか。
それともただトヨタのメール担当の説明が悪いだけなのか。
メールを読みながら、しばらく呆然といていました。
しかし、一つだけ言えることがあります。
自分はこのメールでは何も理解できなかった、という事です。
ヒントを発見
「すいません。せっかくメールを頂いたのに、何も理解できませんでした。物分かりが悪くてすいません。つきましてはもう一度わかりやすく説明していただけませんか」
というメールをトヨタに送ろうか考えて、やめました。
ただでさえ業績好調な世界のトヨタ。しかもそのお客様相談センターといえば、きっととんでもなく忙しいのでしょう。下らない質問を何度もするのは止めようと思い直しました。
このメールをどのように理解すれば良いのかしばらく考えた結果、回答の文章に(※)道路運送車両法 保安基準という文言を見つけました。
どうやら法律から計算方法を引用しているようです。
ならばその法律を見れば全てがはっきりするだろう、という訳で早速調べてみることにしました。
答えは法律にあった?
道路運送車両法 保安基準には車のスピードメーターについて基準が定められていす。
そこにはこんな事が書かれていました。
○平成19年1月1日以降製造の車(軽自動車・二輪車等を除く)
10(V1-6)/11≦V2≦(100/94)V1
○平成18年12月31日以前製造の車(軽自動車・二輪車等を除く)の場合、
10(V1-6)/11≦V2≦(100/90)V1
V1=スピードメーターに表示される速度
V2=実際の速度
どういう事?もう訳がわかりません。大体この前のトヨタからもらった計算式は、どこへ行ってしまったの?
本当にこの計算式とトヨタの計算式は同じものなの?
謎は深まるばかりです。
計算してみるしかない
とりあえず今回は私のアクアが対象になっている、平成19年1月1日以降製造の車の計算式10(V1-6)/11≦V2≦(100/94)V1で計算してみようと思います。
今回はメーターの速度が50㎞の場合で計算してみます。
10(50-6)/11≦V2≦(100/94)50=40≦V2≦53.2となります。
つまりスピードメーターの表示が50㎞で走行している時は、実際の速度は時速40~53.2㎞の範囲になるようにしなければならないという事です。
間を取ると、スピードメーターが50㎞の時に実車速は約46.5㎞といったあたりでしょうか。確かに私の体感した実際の速度表示とおおむね合っています。しかし、スピードメーターを基準に理解しようとすると何かピンと来ません。
そこで実際の速度を基準にした場合、スピードメーターはどのような値を示すのか見てみましょう。
実際の速度が50㎞の場合、スピードメーターの速度はどのように表示されるのか計算式を変えてみました。
10(V1-6)/11≦V2≦(100/94)V1 の真ん中のV2の所に、V1が来るように計算するとこうなります。
0.94V2≦V1≦1.1V2+6
途中の計算式は、書いている本人も訳がわからくなりそうなので割愛します。
つまり実際の速度が50㎞の場合、47≦V1≦61となります。
スピードメーターの速度表示は47~61㎞の範囲に収まれば良いわけです。
極端に端に寄った数字は使わないと思うので、中間で考えると54㎞位の表示になります。
確かに実際のスピードメーターの速度とほぼ合っているように思えます。
結局トヨタは何だったのか
結局トヨタのメール担当さんの回答は、なぜあのような回答だったのか謎のままです。
ですが、一生懸命答えてくれたメール担当さんをあえて問い詰めるような事は止めようと思います。
とはいえ、なぜそうなったのかおおよそ見当は付きます。
おそらくトヨタのメール担当さんは、おおよそこのように対応したのだと思います。
①誰に聞いたら良いのかわからないので、自分で調べた。
②探す時に法律上の計算式ではなく、社内規定の計算方法を私に教えた。なんで社内規定の回答があるのかと言うと、法律の計算方法が分かりにく過ぎて、トヨタでは法律の範囲内に収まる独自の簡単な計算式を作っていると思われる。
③そして恐らくあの珍回答は正しく言い直すと、スピードメーターの表示速度は実車速≦実車速+実車速÷10+4の範囲に収める、というのが正しいと思われる。
④ただしトヨタのメール担当はその計算式が上手く理解できずに、ヘンテコで中途半端な情報を私に教えた。
⑤ついでに言うと、メール担当が調べた情報はかなり古いものであった可能性が高い。メーター表示を実車速より高くしなければならない法律は、昔はあったが今は無くなっている。
と推察します。あくまでも個人の見解です。本当の理由は他にあるのかもしれません。
スピード違反におまけなど無い!
スピード違反でキップを切られる人が良く、「実際は20㎞オーバーだったけど、5㎞おまけして15㎞にしてもらったよ」というのを話しているのを、聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
それもそのはず、実際には15㎞で走っていたのですから当然です。おまけでも何でもないのです。
また、パトカーが50㎞/h制限の道路を55㎞くらいで走っているのを、見たことがある方もいるのではないでしょうか。
これもあくまでパトカーの実車速が50㎞/hなのだから、何の問題もありません。スピードオーバーしているのは巡りさんではなくて、あなたの車のメーターです。
なぜこんな事になっているのでしょう。
理由①車のタイヤはすり減るから。
車のタイヤは使用するうちにどんどんすり減って行きます。車の車軸の回転数が一定でも、地面と接するタイヤの外径が小さくなれば車の実際の速度は徐々に遅くなります。
言い換えると、タイヤが新品のうちはメーターと実車速との差が比較的少ないのです。
新品のタイヤの外径に合わせてメーターを作ると、タイヤが摩耗した時に誤差が大きくなります。
理由②クレーム対策
もし車のスピードメーターの表示速度と実際の車の速度が同じだったとします。その車の所有者が事故を起こしたとします。
事故の原因に車の所有者のスピード違反が疑われた時に、車の所有者が車のメーター表示は制限速度内だったと主張したとしましょう。
その場合、車を製造したメーカーもトラブルに巻き込まれ、責任を問われかねません。
無用なトラブルを避けるために、はじめからスピードメーターの速度は実際の速度よりも少し速めに設定されているのです。
こうしておけば、スピードメーターの誤差や不具合でメーカーに責任が及ぶ確率は大幅に少なくなります。
まとめ
車のスピードメーターは実際の車速より約5㎞程高めのスピードに設定されている。
理由は
①タイヤはすり減るから
タイヤが新品時の一番外周が大きい時を基準に速度表示をしているため、タイヤがすり減って小さくなると誤差が大きくなる。
②クレーム対策
速度計の表示の誤差でユーザーの事故、違反のトラブルに巻き込まれ、メーカーが責任を問われるのを避けるため。
誤差の計算方法
○平成19年1月1日以降製造の車(軽自動車・二輪車等を除く)
10(V1-6)/11≦V2≦(100/94)V1
または、0.94V2≦V1≦1.1V2+6
○平成18年12月31日以前製造の車(軽自動車・二輪車等を除く)の場合、
10(V1-6)/11≦V2≦(100/90)V1
または、0.9V2≦V1≦1.1V2+6
V1=スピードメーターに表示される速度
V2=実際の速度
となります。ちなみにこの法律は数年周期で変わっているようなので、今後も変わって行く事が予想されます。正確な数字は道路運送車両法 保安基準で確認してみてください。
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