2022年4月1日から、楽天証券のSPUが大幅に改悪されます。
楽天証券のSPUは500円以上の投資を、1ポイント以上使って行うだけで達成できる、とても簡単なSPUだったのでおすすめしていました。
しかし、この1年話題続きだった楽天の大幅改悪の波にのまれる形で、ついに楽天証券のSPUも改悪となってしまいました。
今回の記事では、楽天証券のSPU改悪の内容とその理由、さらに改善策についてご紹介したいと思います。
今回の記事は、これまで通り楽天でお得にお買い物をしたい方に、参考にしていただきたい内容となっております。
それでは解説していきます。
楽天証券のSPU大幅改悪について
楽天証券のSPUについて現状と、2022年4月1日以降の変更点について見ていきましょう。
楽天証券SPUの現状
現状、楽天証券のSPU達成条件はとてもシンプルです
例えば、499円の現金と1ポイントを組み合わせて投資信託を購入すれば、SPUを達成できます。
SPU条件を達成すると、楽天市場でのポイント還元率は+1倍になります。
2022年4月1日以降のSPU達成条件
一方、2022年4月1日以降のSPU達成条件は、以下の2つに変更になります。
①投資信託購入
大きな変更点は、投資信託の購入金額が30,000円以上と大幅に増えた事です。
ただし、これは楽天証券で月額33,333円のつみたてNISAの設定をしている人であれば達成できる金額になるので、あまり問題にはならないと思います。
マネーブリッジの設定も、銀行預金を楽天証券の口座に移す必要がなくなくるので、むしろ便利になると思います。
すでに、多くの方がマネーブリッジの設定を行っているのではないでしょうか。
SPUは+0.5倍に減少になります。
そのため、次にご紹介する米国株の購入とあわせて、SPU+1倍を狙う事になります。
②米国株購入
新たに登場した米国株購入についてご紹介します。
ものすごい長いSPU達成条件ですね(^-^;
こういった条件の多さに、現在の楽天の余裕の無さが感じられます。
特に6~8の条件に関しては、「なにそれ?」と思う方も多いと思われます。
私もあまりのセコさに驚いてしまいました。
6の購入は日本円で行うというのは、米国株は円とドルのどちらからでも購入できるようになっているのですが、円での購入でなければSPU条件にはならないという事です。
これは、円で購入する際に為替手数料を得るためだと思われます。
ドル建てだと、楽天が為替手数料をもらえないからです。
7の毎月積立設定はSPU対象外は、毎月積み立てで自動買い付けを行っているとSPUの対象にはならないという事です。
なので、毎月手動で30,000円以上の米国株を買わなければなりません。
面倒ですね(^-^;
8.手数料無料のETF9銘柄は対象外は、特に人気の米国ETF9銘柄に関しては、買い付け手数料が無料のかわりに、購入してもSPU対象にならないということです。
手数料無料のETF9銘柄は以下の米国ETFになります。
コード | 銘柄名 | 取引所 | 経費率 | 投資テーマ |
---|---|---|---|---|
VT | バンガード®・トータル・ワールド・ストックETF | NYSE Arca | 0.07% | 米国を含む全世界の先進国株式市場及び新興国市場へ幅広く投資 |
VOO | バンガード・S&P 500 ETF | NYSE Arca | 0.03% | 主に米国大型株を投資対象とする、S&P500 指数に連動 |
VTI | バンガード・トータル・ストック・マーケットETF | NYSE Arca | 0.03% | 大型株から中小型株まで米国株式市場の投資可能銘柄ほぼ100%に投資 |
SPY | SPDR S&P 500 ETF | NYSE Arca | 0.09% | 米国初のETFでS&P500 指数に連動 |
RWR | SPDR ダウ・ジョーンズ REIT ETF | NYSE Arca | 0.25% | USセレクトREIT指数に連動し、商業用不動産等のREITに投資 |
GLDM | SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト | NYSE Arca | 0.18% | 現物の金地金に裏付けられており、小口から金への投資が可能 |
AIQ | グローバルX AIビッグデータ ETF | NASDAQ | 0.68% | 人工知能(AI)テクノロジーのさらなる開発と、その利益拡大から得る可能性がある企業へ投資 |
FINX | グローバルX フィンテックETF | NASDAQ | 0.68% | 金融サービスの転換をもたらすイノベーションを引き起こす金融技術の最先端にある企業へ投資 |
GNOM | グローバルX ゲノム&バイオテクノロジーETF | NASDAQ | 0.56% | ゲノム編集、ゲノム医療治療、バイオテクノロジー等、ゲノム科学の分野でさらなる進歩の知恵を受ける企業に投資 |
私もおすすめする、VT、VOO、VTI、SPYが対象から外れたのは残念です。
購入する際は、この銘柄以外の米国株を日本円で30,000円以上購入しなくてはならないので注意してください。
楽天証券がSPUを改悪する理由
楽天は2年ほど前から、ポイントアッププログラムの改悪を続けています。
この背景には、楽天の苦しい財政事情があります。
楽天グループでは2年連続の赤字です。
2021年度の決算報告では最終損益が1,338億円の大幅な赤字となっています。
赤字の主な原因は楽天モバイルです。
楽天モバイルは自社の通信網を独自に作っているのですが、人口カバー率が90%程度と、低い状態が続いていました。
その人口カバー率の低い部分はKDDIから回線を借りて補っていたのですが、その回線利用料が年間数百億円の支出となっていました。
楽天が2021年に支払った、KDDIの回線利用料は第三四半期決算で634億円ということでしたので、1年で800億円を超えているのではないかと思われます。
また、楽天モバイルでは新規契約者に1年間通信料無料のキャンペーンを行っていました。
2021年に楽天には通信料の収入はほとんど無かったものと思われます。
こういった赤字の補填のために、大盤振る舞いだったポイント制度の改悪を続けざるを得ないという事情があるようです。
直近のデータでは人口カバー率が96%を超えたようなので、来期の収支は少し改善するものと思われます。
米国株は取り組むべき?
2022年4月1日以降の楽天証券のSPUについて、投資信託の積立は従来通り続けても問題ないのですが、米国株に関してはネット上でも賛否両論があるようです。
どちらかというと、米国株には否定的な意見が多いように思います。
私も米国株投資目的のSPUの取り組みは、積極的におすすめしません。
理由は、楽天証券のSPUを維持するためには相当の資金力が必要になってくるからです。
投資信託で30,000円となっていますが、実際には投資信託はつみたてNISAに設定する場合がほとんどなので33,333円になります。
米国株で30,000円というのも、ちょうどよい金額で購入するのが難しいことと、株は価格がリアルタイムで変動するので、32,000~35,000円くらいで買い付けを入れる事になるのではないでしょうか。
つまり、SPU+1のために毎月65,000円程度の資金力が必要になるのです。
毎月これだけの資金を投資に回せる方は、限られてくるのではないでしょうか。
その他にも、米国株の購入には買い付け手数料と為替手数料が必要になります。
この手数料は長期投資をするには良いのですが、短期間で引き出してしまう可能性がある場合は赤字になる可能性があります。
内容がシンプルな国内証券会社が運用する投資信託と異なり、米国株は多少の知識が必要になります。
また、楽天の米国株投資は積立設定で購入するとSPU対象外になるので、毎月手動で購入する必要があります。
これを「わずらわしい」とか「時間の無駄」と考える方もいらっしゃると思います。
私もその考えに基本的に賛成です。
楽天の米国株投資は、無理して取り組む必要はありません。
米国株おすすめプラン
「どうしてもSPUを上げたいから、米国株の取り引きをしてみたい」
そんな方のために、私が米国株取引おすすめプランを考えてみました。
実際に私がこのプランで4月1日以降に買い付けをしようと思っているので、よろしければ参考にしてみて下さいね。
購入するのは以下の3つのETFになります。
どれも実績のある超有名な米国高配当株ETFです。
特徴としては財務が健全で配当性向の高いアメリカの企業を集めた、株の詰め合わせセットという位置づけになります。
そのため、新興国株のような激しい値動きが起こりにくいです(ただし、暴落する時は暴落します)。
また高配当株は暴落時でも配当金がもらえるので、不況時でも売られにくいという特徴があります。
この3つのETFを組み合わせて、30,000円以上になるように購入するのが良いのではないかと思われます。
本当は全世界に投資するVTや、アメリカ株にまるごと投資するVTIをおすすめしたいのですが、残念ながらこれらのETFはSPU対象外になっているので、購入する事はできません。
上記のETFを3月19日現在の金額で購入するとどうなるのかシュミレーションしてみます。
為替が円安のために、この組み合わせで30,000円を超えることができました。
1ドル=110円くらいだと、この組み合わせでは30,000円に届かないので、VYM×2とHDV×1のような組み合わせが良いではないかと思われます。
基本的にVYMを中心に購入する事をおすすめします。
VYMは構成銘柄が約400と、他の2つ(HDVとSPYDは75銘柄)に比べて多いので、1社の価格の変動に振り回されるリスクが少なくなります。
SPYDは配当金が多めなので、ついたくさん買いたくなってしまうのですが、コロナショックで大暴落した後もしばらく値段が戻らなかったので、暴落に弱いと思われます。
SPYDの購入はポートフォリオのスパイス程度と考えましょう。
他の経済圏との二刀流を目指すべし
私は楽天の改悪は今年も続くものと考えています。
なので、今後も楽天経済圏は利用し続けますが、他の経済圏の利用も視野に入れていこうと思っています。
日本には代表的な経済圏が4つほどあります。
経済圏とは、企業がポイント還元などの優遇策で自社グループのサービスに利用者を囲い込もうとする企業の取り組みのことです(EUとかTPPとは全くの別物)。
今までは、お得さで楽天経済圏の圧勝でしたが、最近は少し風向きが変わってきました。
特にペイペイ経済圏は、ポイント還元で楽天経済圏とほぼ変わらなくなってきているようです。
改悪されたとはいえ、楽天経済圏のポイント還元率はいまだに高い水準にあります。
しかし、一部ではペイペイ経済圏の方がお得になる場合もあります。
例えば、お買い物マラソンでの購入金額を10万円以下に抑えることでポイント還元率を上げつつ、不足の購入分はYahooショッピングから購入するといった具合です。
そこで、今後は楽天経済圏とペイペイ経済圏の両方の、良いところ取りをするのでは良いのではないかと思っています。
今後はペイペイ経済圏についても、詳しく解説していきたいと思っています。
まとめ
2022年4月1日以降の、楽天証券のSPU改悪と対策について解説させていただきました。
楽天証券では4月1日からSPU付与条件が変わります。
①の投資信託はつみたてNISAで取り組むのがおすすめです。
②の米国株投資は条件が厳しいので無理におすすめしません。
もし取り組まれるのなら、以下の米国株ETFはおすすめです。
楽天の赤字の主な原因である楽天モバイルは、今後は人口カバー率の上昇と契約料収入の増加で、改善される見込みです。
ただし、来年の楽天の収支も厳しいものと予想されます。
よって、しばらくはSPUの改悪は避けられないものと思われます。
今後はペイペイ経済圏との二刀流を検討するのが良いのではないかと思っています。
ペイペイ経済圏については、今後詳しい情報を発信をしていきます。
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