こんにちは、まるリスです。
今日は1つ星イタリアンレストランのシェフがサイゼリヤにバイトをしに行ったという、信じられないような本当の話をしようと思います。
まるリスが今回読んだ本は「なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか」というタイトルの本です。
タイトルがびっくりするような内容なので、思わず買ってしまいました。
はじめはお金に困って、仕方なくプライドを捨ててサイゼリヤでバイトをしているお話しなのかと思ったのですが、意外にも自分のお店の経営を改善して生産性を上げたい、という理由からバイトをはじめたのだという事です。
自分の会社を改善したいからスキマ時間に他社でバイトするという発想が、何とも斬新です。
著者はイタリアンレストランのオーナーシェフ
著者の村山太一さんは東京都目黒区にミシュランガイドブック1つ星のイタリアンレストラン「ラッセ」を経営するオーナー兼シェフです。
かつてイタリアでは3つ星レストランで修業をして、そのレストランの副料理長までを任されるようになったという実力のある料理人です。
すごい経歴の持ち主です
しかし、自分のレストランでは経営に悩みがありました。
お客さんは沢山入ってくれるのですが、経費がかかりすぎて従業員にきちんとした給料は払えず、利益は少ない。
仕事は朝から晩まで16時間も働くので、ストレスも多い。
イライラしたスタッフがしょっちゅうケンカをしていたり、オーナーの顔色をうかがってずっと指示待ち状態だったりしていたようです。
村山さんはこんなお店の状態に危機感を感じます。
今はそんなに悪くはないが、このままではいつか店の経営が行き詰ってしまう。
何か手を打たなければという強烈な危機感を持つようになりました。
村山さんはこれを「サバンナ思考」と呼んでいます。
サバンナ思考って何?
サバンナにいるシマウマは、ライオンの接近に気が付くとすぐに逃げ出します。
その中でまだライオンが遠くにいるからもう少し草を食べていよう、という呑気な事を考えるシマウマがいると、真っ先にライオンに食べられてしまいます。
著者はこの誰よりも早く危機に気が付いて、そこから逃げ出そうとする事をサバンナ思考と呼んでいます。
シマウマが自分、ライオンが経営に対する危機ですね。
自分をライオンに食べられそうなシマウマに例える発想がすごいです
まだ遠くにライオンがいるうちにいち早く気が付いて、誰よりも早く打開策を考えて行動に移す。
この気が付く力、考える力、そして行動に移す力の3つがサバンナ思考です。
なぜサイゼリヤ
私も、そしてたぶん皆さんも不思議に思うのは、なぜ経営改革の為にバイトするのがサイゼリヤなのか、という事です。
私の家の周囲にサイゼリヤは無いのですが、かつて短期間東京にいた頃にお世話になっていまいした。
料理の値段がびっくりするぐらい安いと思ったのを覚えています。
私は東京で夜に一人で過ごす事が多かったので、大抵ドライブするかサイゼリヤで時間を潰していたのを覚えています。
サイゼリヤではピザをよく頼んでました
1食で3万円くらい客からもらう高級レストランのシェフが、なぜわざわざ1食1000円もしない大衆レストランでバイトするのでしょうか。
それはサイゼイリヤが世界一のイタリアンレストランだからです。
サイゼリヤはミシュランガイドに載るような店ではありませんが、店舗数では世界一多いイタリア料理店です。
レッドオーシャンと呼ばれる外食産業、その中で安定して規模を拡大して利益を出し続けるサイゼリヤで、経営効率化に必要なノウハウがたくさん学べるのではないかと筆者は考えました。
そしてその考えは見事に成功します。
星付きシェフがサイゼリヤでバイトすると、なぜびっくりしてしまうんだろう
なぜ高級レストランのシェフがサイゼリヤでバイトをすると、ほとんどの人はびっくりしてしまうのでしょうか。
それは、サイゼリヤが低価格の店でチェーン店だから、高級レストランよりレベルの低い店という、皆の共通認識から来ているのではないでしょうか。
だから何となく違和感を感じてしまいます。
しかし、レッドオーシャンと呼ばれる外食産業の中で長い間黒字経営を続けてきたサイゼリヤは、誰もが手本にしても良いくらい優秀な企業です。
レストランという企業を経営ではなく、味や価格で評価していると本質を見誤ってしまいます。
なぜ村山さんは本質を見抜くことが出来たのでしょうか。
それは村山さん自身が自分の事をバカと言っている通り、下手なプライドや偏見を持たずに世の中を見ているからです。
だから物事の本質をいち早く見抜けるのです。
本当はそういう人を、頭が良いって言うんだろうけどね
サイゼリヤの経営を丸ごとコピーする
著者がサイゼリヤの経営から学んで、自らの経営に活かした点を4つご紹介します。
①上下関係が無い
サイゼリヤには上下関係が無いそうです。
正社員の店長でも高校生のバイトでも立場は同じ、という考えで仕事をするそうです。
上下関係が無いと組織が崩壊してしまいそうですが、あえて立場の垣根を取り払い誰もが同じ仕事を出来るようにする事で、効率的な組織を作り出す事が出来ます。
ラッセでもホールの接客を支配人以外でも出来るようにして、キッチンでは味見をシェフ以外でも出来るようにしました。
②セクション間の垣根が無い
レストランではホールとキッチンは明確に役割分担されています。
ホールの人間はキッチンの仕事には関わらないし、キッチンの人間はホールの仕事には関わらない。
しかしラッセではこの料理の世界の習慣を変えて、ホールのスタッフが皿洗いをしたり、料理人が客に食事を提供する事が出来るようにしました。
③常に全体最適
ラッセでは常にスタッフ同士が声を掛け合って、どうすれば効率的に仕事ができるかについて考えをすり合わせています。
何がチームにとってベストかを考えて、誰もが意見を出し合える組織になることで、作業効率は大幅にアップしました。
④手取り足取り教える
料理の世界では教えないのが普通でした。
背中を見て覚えろというやつですね。
しかし、それでは仕事を覚えるのに10年くらいかかってしまいます。
サイゼリヤでは新人さんに対して、仕事を徹底したマニュアル化で手取り足取り教える仕組みがあります。
ラッセでは今まで10年かかっていた教育を、わずか半年でできるようになったそうです。
これにより、食べて行けないような低賃金で働く社員を無くす事が出来た上に、ラッセとしても仕事が半人前の社員に給料を支払う期間を大幅に少なくする事ができました。
生産性が上がるとストレスが無くなって皆仲良しになる
生産性が上がったラッセでは、スタッフはそれまで9人いたスタッフは4人に、労働時間は1日16時間から9時間半になりました。
スタッフの数が減ったので、1人当たりの売上高は年間850万円から1850万円に大幅にアップしました。
1時間当たりの売り上げ高は、さらにアップしていますね
経常利益率は8%アップしました。
これはとてつもない数字ですね。
村山さん自身はずっとブラックな働き方になりやすい料理の世界で働いていたのですが、実はその働き方にはずっと疑問を持っていたのだそうです。
私も会社では働き方を見直そうと主張していますが、その過程で思うのはこの世に心の底からブラックな働き方を望んでいる人なんてどこにもいないという事です。
みんな安全に健康的に仕事をして、早く家に帰って家族と過ごしたいのです。
バカになる
頭の良い人ほど現状に上手く適合できるので、現状に疑問を持ちにくいものなのかもしれません。
ブラックな働き方も慣れてしまえば「こんなものか」と案外思ってしまうものなのです。
その点バカな人は空気が読めないので、現状に疑問を持ちます。
世の中大きく変わる瞬間というのは、そんなバカ達が作っているのかもしれません。
筆者はいつか月にレストランをオープンしたいのだそうです。
月の重力は地球の1/6ですから、フライ返しをする時は注意しないといけないですね
誰もが無茶だろうと思う事を言い続けていると、そのうちJAXAから声がかかったそうです。
そして宇宙食をテーマにした食事イベントを開催し、見事成功させます。
どんなに能力が高い人でも、野心の無い人は何も成功させる事は出来ません。
その逆もまた然りで、能力の無い人でも、野心があれば夢の方から自分に向かって寄ってきてくれるものなのかもしれません。
何か強い思いを持って生きて行ける人は、それだけで人生得してるのかもしれませんね。
早く家に帰ろう
この本は企業に勤めて仕事をしている人におすすめの本です。
すでに自分の会社では働き方が改革できているよ、という人は必要無いと思いますが、少しでも今より良い職場環境にしたいと思う方にはおすすめの本です。
私も職場環境の改善に取り組んできましたが、この本を読んでますます自分の取り組みをもっと進めていきたいと思うようになりました。
最近私のチームでも定時退社が当たり前になってきました。
私の最近の主な仕事は仕事の効率が下がりそうなポイントを見つけ出して、事前に無くしてしまう事です。
ざっくり一言で言うと整理整頓です。
通常の営業業務は他の優秀な社員がやってくれるので、大まかな方針だけ決めたらあとは任せるようにしています。
そうしたら仕事が早く終わるようになりました。
余った時間はブログを書くのに使っています
もし長時間残業が当たり前の会社で働いている人がいるのなら、この本を読んで自分の働き方を見直してみるのはいかがでしょうか。
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